報道のあり方の続き
新型コロナウイルスでは、ネガティブな内容の報道が多いです。
毎日発症している人はいますし、確かに死亡される人が居るのも事実ではありますが、むしろ何人治っているのかを報道したほうが良いのではないかと思います。
例えば、重症例でも治った人、軽症例で症状が進行しなかった人の情報があまりにない。
これは、報道のあり方として追跡やフォローをしていない報道が多いためと思われます。報道したらその後の報道の影響やその報道した例の追跡をしていないことが多い。
もちろん、安易な安心も良くはないのですが、どうも医療的な記事を見ていると、どうもバランスが悪い気がする。私自身も物書きをしているが、その時に注意しているのは、読む人の捉え方を注意している。それは、一人一人の患者さんに対して、注意する点を説明しつつ、安心していただくことも重要だからです。
さて、
これから、人類は数年かけて、この新型コロナウイルス(COVID-19)に対する抗体を局所的な流行を繰り返して、皆持つようになるでしょう。今は、できるだけ緩やかな流行にとどめることがポイントになっています。その流行が緩やかの状態のまま、簡便な検査方法、治療方法、ワクチン開発をしていくわけですが、世界全体が取り込む課題かと思います。
副作用が少ないのであれば、治験期間は短くする必要もあるでしょう。既存の薬を重症例のコロナウイルス感染症に使用し、その効果についての症例の蓄積が重要です。
理論的に効果がありそうな薬はありますが、その使用を認めていかないと、今はスピードが大切です。
厳しい状況にどう対応するか
それぞれの立場で非常に厳しくなっているかと思います。
医療機関でいえば、治療の場でありながら、感染の危険性は常にあります。
院内感染予防は、医療機関である限り、続く課題です。
今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についてですが、ある意味、災害に近い状況にあるとも言えます。
我々はウイルスに対しては基本的には免疫で対応することになります。未知のウイルスに対しては、免疫がないことから多く拡散してしまいます。ウイルスとしては存続することが目的ですので、それなりに軽症であるほど、長く継続していくことができ、変異することがより拡大することができるようになります。
さて、このようなウイルス感染に対してはどうしたらよいのでしょうか?
まずは現状分析をすることです。当然、今回の件は、今までは後手になっていることは否めません。現状を把握するなら、サーベランスになります。検体採取でも感染の危険性がありますので、検査方法を考える必要があります。また、検査時間を短くして濃厚接触を防ぎたいのですが、現時点では検査から結果まで時間がかかるので、発症者のみを検査するのも1つの方法でしょうし、検査の感度が悪い場合は、陰性でも安心できないと言えます。サーベランスのためには、軽症者も検査が必要ですので、一刻も早く簡易検査が望まれます。これによって、対応すべき相手がはっきりするのです。
ウイルスが感染して、発症までに、どの期間で感染力を持つのか、それが重要になってきます。
コロナウイルスの保険適応とのことですが、今、年齢限定されているRSウイルス、ヒトメタニューモウイルスに対する保険適応を全年齢にすべきと思います。ヒトメタニューモウイルスによる肺炎であれば、コロナウイルスの可能性が低くなるわけですから。
今ある方法も有効に使うべきでしょう。
既にコロナウイルスそのものの性質が徐々にわかってきております。それを踏まえた対策とするなら、感染して致死的になる人への感染予防であろうとなります。
一方で報道のあり方にも注意が必要とも言えます。というのも、コロナウイルスに対して効果が見られたと報告されているシクレソニドですが、報道されてしまい、品薄になっているようです。この薬は喘息での治療薬であり、既にこの薬で喘息のコントロールの良い人が使用できなくなり、喘息発作を起こす可能性が出てきました。これでは、報道によって吸入ステロイド薬がなくなり、喘息発作を起こして亡くなる人がいれば、どうしたら良いでしょうか?報道したものが責任を取るのでしょうか?
つまり、安易に集団を誘導する報道は、その影響を考えて報道してもらいたいものです。
トイレットペーパーについても然りです。仮に不足していないとしても、トイレットペーパーがなくなっている状況を映像で流せば、心理学的に不安となり、皆、同時に確保しようとするのは自明の理です。
冷静に対応するためには、影響を考えて情報提供を行う必要があります。
封じ込めには、時間が経ちすぎてしまいました。散発する流行を大きな流行しない方策になっていますが、ウイルスを持っている人の把握がうまくできていないのが現状ですので、基本的にはすべての人がウイルスを持っていると想定した動きが必要になってきます。その意味では集団生活をやめるのは良いのでしょうが、一部だけでは効果は限定的とも言えます。
次に打つ手を少なくとも考えておかないといけない。当たり前ですが、
①迅速検査
②ワクチン開発
③治療方法
の3点です。
後手後手になってしまうと
2月下旬から集会などの自粛要請、3月2日から大学以外の休学、3月上旬から入国制限になりました。
どう思われますか?
今、新型コロナウイルスのクラスターの発生は2月15日前後に起こって、今発症しています。これは集会などの自粛要請前です。
感染経路が不明な症例が増えている。長い潜伏期間を考慮すると、2月上旬に入って、潜伏期間を得て、感染が拡大していると考えるのが妥当かもしれません。
それを考えての結果論ではありますが、入国制限をするなら、1月下旬の春節前だったでしょうし、集会自粛は、その2週間後だったかもしれません。
インバウンド減少による経済損失を懸念したためであれば、今の経済損失のほうが大きくなっている可能性があります。
今となっては過去を考えても仕方がありませんので、次のステップを考えていくことになります。今、増えているのは2月中旬に感染したクラスターの拡大です。
だとすれば、さらにクラスターを防ぐには、残念がらトータル4週間の集会などの自粛要請になるかもしれません。また、クラスターに出席した人の不要不急の外出自粛で、クラスターの拡大を防ぐことになります。
今回の学校の休校もある程度の効果があるかもしれませんが、集団発生しているのは、密室で接触距離が短い場所ですから、学童保育、保育園と学校とどちらが感染リスクが高いのでしょうか?
クルーズ船、ライブハウス、卓球場、屋形船、ジムなどでのクラスターの発生は何を意味しているのでしょうか?
多分、誰もが疑問に持っていることに、今の政府は応えてくれているのでしょうか?
マスクの転売禁止もいよいよ医療機関になくなっている時期になってからですから、異感染予防の点で既に医療機関は危機的状況になりつつあります。
院内感染を防げなくなる状況で大丈夫でしょうか?
やはり何か後手後手になっています。
もちろん、未来を予想するのは難しいし、時にはその場その場の判断になるのは仕方がないことかもしれません。ただ、その場その場の判断でもこれでだめなら次はどんな手を打つかどうか、そして、その手を打つ基準は何なのかという手を打てているのでしょうか?
申し訳ないですが、今はかなり不利な状況になりつつあると思われます。
この状況を変えるには、後手になっている手を先手に変えていくしかありません。
コロナウイルスは、夏には強くありませんので、夏には散発的になる可能性がありますので、そこまで抑え込めるかどうかです。そして、その時点で、まだ世界で流行があれば、オリンピックをしたら、再流行し、冬に向けてどんどん流行が拡大するかもしれません。
SARSは 2002年11月16日の中国の症例に始まり、
多分、医学的知識がなくても、SARSより早く終息するとは思わないでしょう。
オリンピック開催にはかなり英断が必要かもしれません。これも後手にならないことを祈っています。
なぜ不足するのか?インターネットでの拡散情報はすべて正しいか?
需要と供給のバランスが崩れる、つまり、供給より需要があれば不足します。
市場原理から言えば、この状態では価格は高騰します。
しかし、需要のアンバランスのために、需要が減っている可能性はあります。
特にトイレットペーパーについて、オイルショックから日本人は変わっていないことが今回証明されてしまいました。
危惧するのは、マスコミ報道です。店に足りない映像を流せば、足りないからすぐに買わないといけない印象を与え、それ以外の情報が入らなくなる可能性があるわけです。
情報を適切に伝えることが重要であって、単に伝えるのであれば、誰でもできます。
その真偽を検証し、与える影響などをしっかりと考慮した上で報道しているのでしょうか?
報道ではないでしょうが、昨今、テレビ番組にヤラセなどがあったなどと言われています。
マスクについては、以下のデータがあります。
須原宏造 他 日本胸部臨床●75巻9号2016年9月より引用。
今、医療機関でマスクが不足しつつあります。病床を確保しても、医療資源、人手がなければ、医療継続は難しくなります。
つまり、病床を確保するということはその分の医療資源も確保するということであって、単にベットだけではないことを理解しているのか、少し不安です。
決断するときにはメリット、デメリットを考えて
大きな決断をすることがあるかと思います。
決断とは、どちらを用いて、どちらを捨てることになります。
常にメリット、デメリットを考えて決断するわけですが、そのメリット、デメリットを考えるのが早いか遅いかで決断のスピードが異なります。
早く決断するのか、もう少し決断するのか、今、決断するタイミングなのかを考えることになります。そこには、やはり、メリット、デメリットを考えるわけです。
先を考える時にどこまで考えているのか、先が長いほど、結果については不確定要素が大きくなります。
もちろん、決断した以上、前に進むしかありません。
リーダーに決断が求められているのは、その決断にメリットが大きかったという結果が多いことであり、その結果の積み重ねがリーダーのリーダーたる所以です。
リーダーの決断にデメリットが多いのであれば、従うでしょうか?
人を左右するリーダーの決断、遠慮深謀がなくてはいけません。そうしたリーダーは居るのでしょうか…。
結果論がいえば
アメリカと比較して、新型コロナウイルス感染症が多く、この数日に流行の可能性が出ている。
コロナウイルスの潜伏期間を考慮すると、2月2日の対応の違いが関与している可能性がある
アメリカは2月2日に14日以内に中国への渡航または経由がある方は入国不可にしました。
日本は
国土交通省の指示により、2020年2月16日から
入国不可になっています。
院内感染の予防の点からは、清潔と感染区域を物理的に分けないと院内感染は起こってきますので、クルーズ船は閉鎖空間の中で、うまく分離できたかどうかは結果論からは不可能だったと予想され、今後の課題が見えてきました。
いまさら過去のことを考えても仕方がないので、今後どうするかになります。
少なくとも、封じ込めは難しくなっており、スプレッダーが拡散する可能性があり、自分がスプレッダーになる可能性があります。新型コロナウイルスに対する免疫力は残念ながら現時点では誰もがない状態ですから、自らの免疫によって治すしかありません。
感染予防の点から、この2週間は集団生活を機会を減らすしかないかもしれません。
さて、本当に流行のピークを下げるには、2週間、不便な生活になるかもしれませんが、2週間は、人がマスクを外し、口に手を持っていくる機会のある場所、日時を減らすことにが重要かもしれません。
そういえば、医療機関にマスクが不足している。医療機関の機能が保てなくなる可能性が出ている。このマスク不足も結果論からは人的要素が多そうです。
コロナウイルス感染症(COVID-19)は軽症から重症と様々なので診断が難しい
遺伝子検査は正確ではありますが、どこでも検査できるわけではありません。
インフルエンザには迅速検査があって、その場で診断が可能です。
麻疹、風疹などは症状から疑うことができます。
しかし、コロナウイルスは風邪のウイルスでもあるので、診断が難しいとも言えます。風邪ウイルスで多いのはライノウイルスですが、これは迅速検査がありません。
診断が迅速にできると、隔離することができます。
我々、人類は常に病原体との戦いとも言えます。そうした映画が時々作られています。
今回のことで、感染リスクを下げるためには、人から人に感染するのであれば、人の集まる状態を減らすことになります。特に密室は危険とも言えます。
これからは、軽症例は自然治癒しますので、肺炎例を診断し、最悪を結果を防ぐことが大切です。これはインフルエンザであれ、RSウイルスであれ、麻疹であれ、多くのウイルス性疾患に対する対応になります。
我々は、自分の免疫を持って、病原体に防御しているわけですから、免疫を落とさない対策が重要です。
そのためには、
・規則正しい生活、十分な栄養とバランスの取れた食事、良好な睡眠
・適度な湿度と温度を保つ環境
・適度な運動
・ストレスを減らしたり、笑うこと
です。
人は、試行錯誤の上、次に学ぶことができます。
今回のことが次の対策に活かせることを願っています。
一度、封じ込めても何度も流行する可能性があります。デング熱もそうですし、エボラ出血熱もそうです。また、ウイルスは変異しますので、変異しても対抗できる手段が必要になります。
今回を乗り切って、一安心するのではなく、次に備えるべきでしょう。